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プロジェクトの主旨

背景
 パリ協定を機に、カーボンプライシング(炭素価格)が改めて注目されている
    ✓排出量取引(ETS)、炭素税、実効炭素価格
 欧州ではEU-ETS、炭素税。米国地域ETS(RGGI)、韓国K-ETSに続き、中国地域ETS試行から全国展開へ
 日本では低率な地球温暖化対策税と、東京都・埼玉県ETSに限定。

必要性
 日本では2050年に80%削減の長期目標が掲げられ、効率的な政策手段としてカーボンプライシングへの
    期待は大きく、本格導入への研究が必要
 一方で、これらの事後検証は世界的にみても不十分
 日本でも制度オプションの経済研究は限定的
 各国・各地域の実施状況を踏まえた上で、経済の各部門に配慮しつつ低炭素技術開発・普及を促し、長期
    的目標の実現に適した制度設計を行うための研究が不可欠

最終目標
 日本のカーボンプライシングに関する制度の事後検証とモデル構築を中心に以下の7つのサブテーマを
    明らかにし、長期的な削減目標達成のための制度設計や環境政策の検討に貢献することを目指す

個別目標
 日本の地域レベルのETSの事後検証を通じて、以下を定量的に明らかにする
    ✓削減効果、経済影響・炭素リーケージ(サブテーマ1)
    ✓低炭素技術普及等のイノベーション効果(同6)
 長期目標達成のためのカーボンプライシングレベルを明らかにする経済モデル構築(同4)
    ✓環境税改革(二重の配当)の経済分析 (同3&4)
    ✓炭素税の実効税率改革の経済分析(同5)
    ✓カーボンプライシング導入時に影響を受ける業種特定と緩和措置(同5)
 家計部門のカーボンプライシングの効果分析(同7)
 地域経済への影響分析(同2)
 カーボンプライシングの制度オプション(税とETSの組合せ等)を検討
    ✓大規模事業者vs中小事業者(同3&5)
    ✓ETS:対象産業、排出枠の配分方法(導入初期の緩和措置等)(同1)
    ✓イノベーションを促進するETSのデザイン(同1)

実施体制



テーマ別研究概要

サブテーマ1
東京都排出量取引制度の効果の事後検証とカーボンプライシングの制度設計
有村秀俊(早稲田大学)

 平成29年度:東京都ETSの削減効果の事後検証
1.欧米の先行研究のレビュー及びにETS導入地域でのヒアリング
2.温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度等を使い、削減効果や炭素リーケージについて検証
      また、都道府県レベルの事業所活動データを用いてデータ分析
3.対象事業所へのサーベイの実施に向けた準備
 平成30年度:事業所サーベイの実施と削減効果の実証分析
1.事業所サーベイを行い、データ収集
2.計量分析を実施し、ETSの炭素リーケージや経済影響を分析する(Matching手法)
 平成31年度:事後検証の精緻化及び全体統合
1.前年度までの分析結果を精緻化し、さらに国際学会で報告しブラッシュアップ
2.各サブテーマの分析結果を踏まえ、カーボンプライシングの制度オプションの取りまとめ

サブテーマ2
再生可能エネルギー普及のためのカーボンプライシングの研究
鷲津明由(早稲田大学)

 平成29年度
1.2011年版次世代エネルギーシステム分析用産業連関表(IONGES)・2011年実績表の作成
2.2005年版地域間IONGES(実績表・2030年想定表)の更新
      長期エネルギー需給の見通しに整合的で出力抑制を考慮した表に更新する。
3.次世代技術メニュー(BEMS,HEMS,スマートグリッド等)の調査
 平成30年度
1.2011年版IONGES・2030年想定表の作成
2.2005年版地域間IONGES・ 2030年想定表の拡張
      スマートグリッドがもたらす出力抑制の減少等を反映した表の作成
3.地域別部門別CO2排出原単位データベースの構築
 平成31年度
1.BEMSによるCO2削減効果が炭素税の実効税率にもたらす効果のシミュレーション分析
      2011年版IONGESの推計結果とサブテーマ4・5・6の結果との接合
2.家計の消費行動が各地域の消費100万円に与える炭素税の効果をシミュレーション分析
      2005年版地域間IONGESとサブテーマ4・5・7との結果の接合

サブテーマ3
欧米各国カーボンプライシングの事後検証と日本の制度オプション検討
小嶋公史(地球環境戦略研究機関)

 平成29年度
1.ドイツ・北欧等カーボンプライシング先進事例の文献レビュー
2.実効炭素価格も視野に入れたカーボンプライシング効果の事後評価情報収集
3.ポリシーミックス・既存エネルギー税との調整などについて、文献レビューおよびヒアリング
 平成30年度
1.ドイツ・北欧などの先進事例に基づきカーボンプライシングの排出削減効果、GDP影響、および雇用へ
      の影響などについて事後評価実施
2.ポリシーミックスに関し定性的な事後評価実施。中小企業も含めた日本の制度オプション検討
 平成31年度
1.カーボンプライシングの事後評価およびサブテーマ2、4、5の分析結果を踏まえ、カーボンプライシ
      ング制度オプションを検討

サブテーマ4
環境税改革の経済分析
武田史郎(京都産業大学)

 平成29年度
1.既存の環境税制改革についての調査
2.日本の環境税制改革を分析するための応用一般均衡(CGE)モデル構築に必要な調査
 平成30年度
1.日本の環境税制改革を分析するためのCGEモデルの構築
2.CGEモデルで利用するためのデータ(最新の社会会計表、再生可能エネルギーデータ、税についての詳
      細なデータ)の構築
3.CGEモデルによる環境税導入のシミュレーション(軽減措置を考慮した分析)
 平成31年度
1.CGEモデルによる環境税制改革の分析
2.環境税と既存の税(所得税、法人税、消費税等)とのスワップの分析(二重の配当分析)
3.既存のエネルギー税の改革も含めた環境税導入の分析
4.長期削減目標達成のために必要なカーボンプライシングの検討

サブテーマ5
カーボンプライシングの産業連関分析
杉野誠(山形大学)

 平成29年度:企業規模別環境分析用産業連関表を構築
1.業種別のCO2排出量の算出(平成23年国内IO表と3EIDの活用)
2.カーボンプライシングによる大企業・中小企業別の影響分析
3.業種別CO2集約度、エネルギー集約度、貿易集約度を計算
4.炭素価格による影響が大きい業種を特定
 平成30年度:炭素価格導入シミュレーション分析
1.業種別の国際競争力に配慮した軽減措置のシナリオを複数設定
      ✓軽減措置なしケースによる影響を分析
      ✓軽減措置ありケースによる影響を分析
      ✓分析結果の比較
 平成31年度:化石燃料関連の実効税率分析
1.業種別の化石燃料関連の実効税率を算出
2.業種間の有効税率を均等化させる(業種別)炭素価格の算出
3.有効税率を均衡化させる炭素価格による影響および軽減措置のシミュレーション分析

サブテーマ6
排出量取引のイノベーションへの影響分析:埼玉県の制度を中心として
浜本光紹(獨協大学)

 平成29年度:埼玉県の「目標設定型排出量取引制度」に関する基礎調査
1.既存の資料による制度の詳細に関する調査、および東京都の排出量取引制度などの仕組みとの比較分析
2.対象事業所へのサーベイの実施に向けた準備
 平成30年度:対象事業所のイノベーション活動に関する実証分析
1.サーベイによる対象事業所のイノベーション活動に関するミクロ・データの収集
2.得られたデータを用いた定量分析の実施
 平成31年度:対象事業所の活動に関するケース・スタディ
1.回答のあった事業所に対するヒアリング調査の実施
2.排出量取引制度の下での企業行動(特にイノベーション活動)に関する事例分析

サブテーマ7
カーボンプライシングが世帯の電力消費に及ぼした影響の検証
松本茂(青山学院大学)

 平成29年度
1.平成全国消費実態調査(平成1,6,11,16)を利用し、家計のエネルギー消費状況の変遷をまとめる
2.次年度のアンケート調査作成のため、US EIA と Resources for the Future でヒアリングを行う
 平成30年度
調査会社に作業委託し、世帯のエネルギー消費調査を実施する
1.地球温暖化対策のための税の導入前後のエネルギー消費状況を比較し、世帯のタイプ別に課税の影響を
      調査する
2.同時に、耐久消費財の導入状況、電力契約方法などについても調査し、世帯のエネルギー使用に関する
      詳しい調査を実施する
 平成31年度
平成30年度の成果をもとに、将来予測を行う
1.目的別のエネルギー需要の価格弾力性を推計する
2.将来の人口構成の変化がエネルギー需要へどの様な影響を及ぼすかを予測する

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